こんにちはピヨたけです。
2年生編8巻面白かったですね。修学旅行が舞台ということで特別試験もなく純粋な旅行を楽しむ幕間の巻。と、思いきやこれからの展開を左右する重要な伏線が何個もありました。
ということで今回は2年生編8巻の感想を交えながら少し考察してみたいと思います。
修学旅行
2年生編8巻は修学旅行編。雪の降る冬の北海道が舞台です。
現地を一緒に行動するグループは各クラス男女1名ずつの計8人グループ。自クラスだけでなく他クラスの生徒とも一緒のグループとして行動します。
グループの決め方は自分以外の生徒を学力・運動能力・友好度など様々な観点から採点し、順位をつけるというもの。これを自クラスと他クラスの生徒に行い、割り振った順位から学校側がグループを決定します。
こうして決定した綾小路のグループのメンバーは
Bクラス:綾小路清隆・櫛田桔梗
Cクラス:龍園翔・西野武子
Dクラス:渡辺紀仁・網倉麻子
間違いなく平和には終わらないグループメンバーとなりました。
波乱の修学旅行編が開幕します。
七瀬の秘密
この巻で七瀬にはまだ秘密がありそうなことが明らかになりました。
無人島試験から船上まで、あれだけ綾小路の周りを動き回っていた七瀬が、体育祭ではちょっとだけ、文化祭では未登場だったので気にはなっていたのですが、実はまだ秘密が隠されているとは思いませんでした。
七瀬に関しては現在のところその真意は不明ですが、どうやら綾小路の父は綾小路を退学させるために動いたわけではなく、綾小路がこの学校に入学することは、全て最初から決まっていた可能性が出てきました。
学年末試験 龍園VS坂柳への伏線
この巻の主役はやっぱり龍園でしょうね。修学旅行の班が綾小路と同じということもあり、出番がすごく多かったです。
相変わらずの暴君ぶりで、同じ班のメンバーを振り回しますが、龍園翔という男がそれだけの人物では無い事が随所に散りばめられています。
龍園と坂柳は学年末試験で対決することが決まっており、修学旅行は他クラスのメンバーと班を組むことから、腹の探り合いが展開されていきます。
龍園と坂柳は共に自らの実力を誇示して周囲をまとめていくタイプですが、二人の間には明確な違いがあることがこの修学旅行編で描写されています。
龍園は確かに横暴な暴君ですが、仲間思いであり、他者に対して気遣いができる人物です。
Aクラスの陰湿な嫌がらせにより、修学旅行の班で孤立してしまっていた葛城に対し、軽口を叩きながらも気遣う場面。
スキーに行くのに手袋を忘れてしまった事を、迷惑になるまいと隠そうとする山村に、強引な方法だが、手袋なしでのスキーは事故が起こりかねないと説得。これまた強引に綾小路の手袋を山村に貸し与えた場面。ここは山村が手袋をつけなかったのがわざとかどうかで色々と変わるかもしれませんが。
そして西野と山村が他校の生徒に絡まれていたところを助ける場面。
同じクラスの葛城や西野だけでなく、Aクラスの山村に対しても不器用ながら気遣いを見せたことに、龍園がただ暴君なだけでなく、人に対する気遣いができる事が多く描写されています。
対して坂柳は、同じ班になったCクラスの時任に必要以上に接近します。
時任は龍園のやり方に不信感を抱いており、満場一致試験で龍園に対して反旗を翻しました。
この時は葛城の説得と龍園の温情により、事はおさまったかに思えましたが、もしかしたら心の中に燻るものがまだ残されているのかもしれません。
もしかしたら時任は坂柳に満場一致試験の顛末を話し、それを聞いた坂柳は時任に接近しCクラスを瓦解させるために利用しようとしているのかもしれないですね。
坂柳と時任の二人が親しく話していることを見た山村は綾小路の前で面白く無さそうな表情を見せます。山村の心情について予想できることは2つ。
一つは坂柳が自分以外と親しく話をすることによる嫉妬。
4.5巻の坂柳の電話により、山村は坂柳から最も信頼を得ている生徒ということになります。その信頼から自分以外の誰かと親しくしている事をよしとしていないかもしれません。
もう一つはそもそも坂柳のことを快く思っていない可能性です。
山村は修学旅行で龍園の不器用な優しさに触れました。
最初は手袋を忘れた時、そして他校の生徒に絡まれた時です。
龍園が実は人に対する優しさを持ち合わせている事を知ったことにより、仲間を駒としか思わず、今また時任を利用しようとしている坂柳に思うところがあったのではないか?ということです。
この修学旅行編で見せた龍園と坂柳の相違点。
綾小路は単純な能力なら坂柳の方が一枚上だと評価していますが、葛城を始めとする仲間達から信頼を寄せられる龍園がどのように戦うのか?
学年末試験は龍園VS坂柳も目が離せなさそうですね。
ちなみにピヨたけは龍園勝利にBETします。
直江元幹事長の死
0巻のあらすじで綾小路父は政界の派閥である直江派に属していたことがわかっています。
綾小路父が直江から極秘プロジェクトとして掲示されていたのが政府直属の人材育成期間ホワイトルームの設立です。
その直江が長らく療養していた病院で亡くなったことがニュースで流れます。
もしかしたら直江が療養していたことと、ホワイトルームが停止していた事は何か関係があるのでしょうか?
そしてその直江が亡くなった事により綾小路父とホワイトルームにも何か動きがあるかもしれません。
櫛田の気持ち
3日目の夜、櫛田は龍園を呼び出します。
不穏な空気を感じとった綾小路は気配を完全に消して二人の後をつけてみることに。
櫛田は龍園と繋がりクラスを裏切っていた過去があります。この修学旅行中に櫛田は龍園に脅しのような牽制をかけられていたのです。
櫛田は龍園を呼び出し、脅しの真意を確かめようとしますが相手は龍園。クラスを裏切っていた弱みをネタに、逆に櫛田は追い詰められてしまいます。
これ以上は危険と判断した綾小路は櫛田と龍園の前に姿を表し、龍園に警告します。
綾小路の警告に、かつて屋上で対峙した二人の空気が流れますが、ここは龍園が引きます。
「通じもしない戦略で殴りかかってしっぺ返しを食らったんじゃ意味がない。だろ?おまえを倒すには中途半端なやり方じゃ通用しないのは経過済みだ」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編8巻
綾小路はすでに龍園と櫛田の関係性に対する対策を考えていたことから、龍園は綾小路には通用しないと判断。
櫛田のネタで堀北クラスに仕掛ける事をやめ、部屋に戻っていきます。
残された櫛田に綾小路は
「とにかく危ない橋は渡らなくていい。今の自分を大切にすることだ」
「歯の浮いちゃうようなセリフだね。そんなに私の力がクラスに必要?」
「それもある」
「それも?」
「腹を割って話せるようになった櫛田とは、上手くやっていける気がしている」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編8巻
櫛田が本性を隠さなくなったことから話しやすくなったと言う綾小路。しかし櫛田はそれを否定します。自分の本性を知った人間がそんな事を思うはずがないと。
そんな櫛田に綾小路は
「これは事実だ。世の中にはおまえの本性の方が居心地が良いと感じる者もいる」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編8巻
この言葉を聞いた瞬間。櫛田に変化が。綾小路から少し離れ
「大丈夫、大丈夫‥」
ぶつぶつとそんなことを言い出し、動きをぴたりと止めた。
どうしたものかと見守っていると呼吸を整えた櫛田が振り返る。
「ちょっと眩暈がしたんだけど、もうだ!いじょうぶ!」
変なところで上ずった声を上げた櫛田だったが、心配ないとアピールした。
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編8巻
これまで自分の本性を知られれば嫌われると思っていた櫛田。しかし自分の本性を初めて認めてくれた綾小路。それが櫛田の心に大きな変化をもたらしました。
櫛田は綾小路に礼を言い、その場から立ち去ろうとしますが、去り際に盛大にすっ転びます。
綾小路が心配して近寄ろうとしますが、櫛田はそれを制止し、去っていくのでした。
ナチュラルに相手の心に入り込む綾小路は本当にイケメンですね。
石上の正体
最終日に坂柳に呼ばれた綾小路。
そこで同じく坂柳に呼ばれた神崎から石上について話を聞きます。
神崎と石上は共に綾小路と父と過去に接点があったこと、そして石上はより綾小路に父に近しい関係者である事を知ります。
しかし、綾小路の父が最初から綾小路の退学を狙っていなかった可能性が出てきていることから、現時点では石上が行動を起こすことはないと判断。これは坂柳が直接石上に電話をし、言質を取っています。
七瀬といい石上といい、綾小路父の真意はいったいどこにあるのか?
今後の展開を左右する描写に思えますね。
壊れそうな一之瀬
降りしきる雪の中一人佇む一之瀬。綾小路が隣りに立つと最初は拒絶しますが、綾小路は一之瀬が帰るまでオレも帰らないとその場に残ります。
無言で佇む二人。そして一之瀬から口を開きます。
「私のやり方じゃ‥もう、どのクラスにも勝てない。そんなことを考えてた」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編8巻
瞳から涙を流しながら綾小路に心境を吐露します。
一之瀬の心はすでに限界。約束の日までは持たないと判断した綾小路は涙を流す一之瀬の肩を抱き寄せます。
軽井沢という恋人がいる事を知り、頭ではダメだとわかっているのに、それでも自分を抱き寄せる綾小路を振り解くことがきず、身を任せてしまう一之瀬。
消え入りそうで儚げな一之瀬が印象的です。どうか救いがあって欲しいと願います。
まとめ
2年生編8巻は特別試験がないですが、随所に伏線が散りばめられていると感じます。
進展した事象、明かされる謎など、今後を左右する展開がなされているので非常に読み応えがありました。
ここまでみてくださってありがとうございました。それではまた。
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